総務省がまとめた統計によると、少子化の傾向がいぜんとして収まらない(5月5日発表、04年4月1日現在)。
15歳未満の子どもの数は約1781万人、前年より約20万人少ない、という。低下はこれで30年連続となり、“国の力”の将来に不安を感じさせる。
スポーツ界への影響も極めて大きいハズだが、その割に深刻感は濃くない。
直近で次代へ影響するのは、高校生のスポーツ愛好者数が、1つのバロメーターになるが、全国高校体育連盟機関誌によると、最近3年間(01〜03年)の総数は125万人台で落ち着いている。
このあたりのデータが、深刻さを薄らさせるのだろうが、子どもの数が少ない、という現実の波は、確実に、スポーツ界へ押し寄せている。
これまでは、スポーツ好きな子どもたちを中心に考えていればよかったが、これからは(いささか遅い、とは思うものの)、いかに多くの子どもたちにスポーツに親しんでもらうかの“働きかけ”が欠かせなくなる。
そのあたりのプログラムが、一向にスポーツ界からは見えてこない。
総て競技志向で、強化のベルトに乗せる金の卵を探すばかりが、スポーツ団体の仕事ではあるまい。
シーズン制の確立、各スポーツ間の交流など少年スポーツの新しい展開を、団体の垣根を取り払って図るべきなのだ。
いま、「子どもの居場所」という動きが盛んだ。外での遊びの楽しさもその1つだが、といって、かつて、路地を絶好の"競技場"とした野球ごっこ、ゴム跳び、ドッチボール時代が再来するわけではない。
そうなれば、スポーツがいかに遊びごころを打ち出して、子どもたちの興味を誘うかに、期待がかかる。
スポーツは、まず遊びありき、だ。その中から、一握りの競技志向の少年が出ればいい。
強くて巧い「少年競技者」を育てるコーチよりスポーツが好きな少年を増やす“コーチ”にも光があてられなければいけない。
このシステムを、旧来の学校スポーツ、新型の地域スポーツクラブとともに築きあげられれば、スポーツ好きという面では“数の不安”を感じずにすむだろう―。 |