たしかに5球団では、リーグ運営に不便が多いだろう。
だからといって「1リーグ制」が、既定の路線かのように騒ぎ立てるのは、おかしすぎないか。
何とか「2リーグ」を守りたい。人気の圧倒的な片寄りがあるのは、すでに半世紀近く嘆かれながら、それでも、セ・パ併立はプロ野球最善のシステムとして機能してきた。それは1リーグ制否定の貴重な球史でもある。
プロ野球ファンの大多数は「パ・リーグ」を不必要な組織だと思ったことはいちども無いハズだ。
ペナントレースの展開に寄せる関心は、両リーグ同じようなレベルにあった。
一方のリーグの順位争いが味気なくなれば一方のリーグへ興味を動かせもした。
チーム成績ばかりではない。リーディングバットマン、ホームランキング、数々のピッチャースタイトル……。総てに“2つ”のスリルを味わえる。
それは、そのままプロ野球への高まりだった。
今回の事態で、プロ野球関係者の間に、どれだけ「2リーグ制堅持」の熱意があるのか。
セ・リーグ側に1リーグ慎重論が多いとされるが、これは、営業上の打算が働きすぎている。
5球団の変則を工夫で乗り越えて、新球団の発足を待つ余裕は、もはやないのだろうか。新球団を招くあらゆる策と努力を、プロ野球界は示すべきではないのか。
近鉄バッファローズとオリックス・ブルーウェーブの“合体”の最大因は、近鉄の赤字にあると報じられる。
プロ野球団は額に差こそあれ、多くは赤字でシーズンを決算する。
マイナスをつづけても“不良物件”にさらされないのは、親会社の広告宣伝費とすれば安いもの、とか、親会社の本来業務にはプラスにはね返っている、だのと解説されてきたものだ。
なんのことはない、球団はプロを名乗りながら、運営を手がけるだけで、経営に力を注がないで済んだのである。
この風潮が改められなければ、1リーグ制に戻ったところで、頼りない球団が姿を消すわけではない。
ペナントレースの市場化推進、見せるスポーツの王者としてのサービス強化、全球団全選手のプロ意識高揚―各球団が取り巻く全角度を再検討し、独立採算がはじけるビジネスに立ち向かわなければ、いずれまた、今回と同様の騒ぎは起きるだろう。次の買い手がすぐに現われるようなマーケットでなければ「プロ」とは言えない。
「2リーグ」も、「12球団」も多すぎたわけではない。「プロ野球」のあり方が、どこかずれていたために生じた事件なのだ―。 |