阪神が音頭を取って、巨人を除くセ・リーグの5球団が「2リーグ制維持」で一致したという。 事態は流動的であるが、これらの動きをどうみたらいいのだろうか。
セ5球団が1リーグ制反対・2リーグ制維持を唱えるのは、一にも二にも「巨人戦が減って減収になるのはイヤだ」からである。
一方巨人が「1リーグやむなし」と考えたのは、 @パ・リーグが5球団から、さらに4球団になるから「同じリーグに入れてほしい」という意向を入れたと思われること A巨人自体が「新しいカードを組んで人気を挽回して売り上げを上げたいから」である。
巨人戦の人気は、伝統の一戦といわれる巨人・阪神戦でさえ名ばかりで、ナイターのテレビ視聴率は10〜15%そこそこ。ゴールデンタイムの番組としては落第だ。また東京ドームは外野自由席券(席がない)をバンバン売って満員の発表をしているだけである。
巨人としてはセの5球団に対して「あんたたちとだけやっていてもこれ以上儲からないんだよ」ということで1リーグという「増収計画」を立てたといえる。この計画に対するセ5球団の対応策が「交流戦」である。
しかし、これまで巨人は交流戦に賛成してきたが、反対して潰してきたのはセの5球団だった。
セ5球団は、パが財政に苦しんで交流線を持ちかけてきたとき、「そんなことをしたらオレのところが減収になる」と反対した。されば、とパが5球団から4球団に身を削って1リーグやむなしとなったとき、やっと交流戦をやると言い出した。
セ5球団も巨人も、しょせん、商売一点張りである。
セ5球団は交流戦のほかに、ドラフトのウェーバー制やFAの取得年限の短縮や機構加盟金30億円の廃止などを出している。みんないいことであるが、実はすべて巨人主導で実施してきたものだ。
セ5球団の“改革案”は“巨人否定”を突きつけることになる。
これだけコケにされた巨人が、こう言いだしたらセ5球団はどうするのだろうか。
「わかった。オレのところは来年からパの5球団と一緒にやる!」
これは巨人の脅しではなくて、追いつめられた巨人の反撃である。
また、今は鳴りをひそめているが、ロッテがいう「8月の下旬に何かある」に向かって水面下で進行していると見ていい「もう1つの合併・パ4球団」の事態に、セ5球団はどう対処するつもりなのだろうか。
それでも2リーグ制を唱え続けるのだろうか。
巨人の渡辺恒雄オーナーはメチャクチャにいわれているが、セ5球団のオーナー連中も似たようなものだ。経営者として無理ないとはいえ、つまるところは自分の懐具合だけが心配で、プロ野球のファンサイドの視点が欠落している。またバランス感覚もない。
今のプロ野球はおおむねつまらない。カードが干からびていて新鮮味がないのだ。
ここは、パが4球団になるのを機会に、一度、“全体の交流戦”をやって、その間にいまセ5球団が出している“改革案”などを検討し、新加盟者を入れて、再び2リーグ制に戻るように努力するのが自然の流れではないだろうか。 |