スポーツデザイン研究所
topページへ
topページへ
講演情報へ
オリジナルコラムへ
SPORTS ADVANTAGE
   「批評性」「評論性」「文化性」の視点からスポーツの核心に迫る
最新GALLARY

photo

2004/アテネ
体操 男子団体決勝 鉄棒
鹿島丈博

SPORTS IMPACT
  オリジナルGALLERY
vol.213(2004年8月18日発行)

【杉山 茂】白日にさらされたジャイアンツの裏金
【高田実彦】“悪役”渡辺オーナーにはなむけの言葉
【賀茂美則】北島の「ハンセン無視」に疑問を呈す

「あしたのアテネ」随時メルマガ発行中
リターンメールが急増しています、至急サーバーの整理をおねがいします
購読希望者は右よりエントリーして下さい。

エントリーフォームに不具合が生じております
右下のアドレスよりエントリーください。

筆者プロフィール

vol.212 2004年8月11日号「室伏広治選手・・・」
vol.211 2004年8月4日号「“松本紀彦さん”・・・」
vol.210 2004年7月28月7日号「“出ごと”・・・」
SPORTS ADVANTAGE
無料購読お申し込み
オリジナルコラムを中心に当サイトの更新情報、スポーツ関連講座やシンポジウム開催情報などを無料配信しています。今すぐご登録下さい。
申し込みはこちらから
メール配信先の変更
(登録アドレスを明記)
ご意見・ご要望
エントリーは下記アドレスに、氏名配信先アドレス男女都道府県別年齢所属、記入の上メールして下さい
advantage@sportsnet
work.co.jp
白日にさらされたジャイアンツの裏金
杉山 茂/スポーツプロデューサー)

 ジャイアンツの裏金問題。「野球界」という所は…。そう嘆かなければならぬ事件だ。
 
 渡辺恒雄オーナー突然の辞任(8月13日)は、てっきり一連の球界編成問題にからむ糸のほつれを投げ出したのかと思えたが、まったく新たな火ダネが生じたものだった。
 
 オーナーが辞めざるを得ない事態、とも思えぬが、時が時だけに、ということなのだろう。

 それにしても、問題の“中心”がよく見えない。新聞社の抱える球団の手際にしては、いささかお寒い経過の発表だ。

 マスコミは、マスコミの攻勢を受けると、日ごろの強腰に似ず、たじたじとするのは、今回の例に始まったものではないが、それにしても、焦点がぼけている。

 辞任劇の発端は、ジャイアンツが日本学生野球憲章に違反しているという“情報”が外部から寄せられたことにある、とされる。

 外部に指摘されて違反に気付いたというのではなく、不正な行為と知りつつ内部では進めていた、だから罪は重い、だからオーナー以下首脳の解任、という、だからの“重ね”である。どうも子どもっぽい。

 ブルーウェーブの宮内義彦オーナーが「新聞社って大変だな」と感想をもらしたそうだが(=日刊スポーツ・8月17日付)、ジャイアンツー読売新聞社の“社内の混乱”をにおわす発言、とも受取れる。

 それはともかく、外部からの指摘がなければ、内部では不正がこれからも助長・継続されていたのだろうか。そうに違いない。

 オーナー辞任の日、全国高校野球連盟・脇村春夫会長がテレビニュースの取材に「渡辺オーナーが非を認めたことに敬意…」と語っているのも、いささかびっくりだ。

 これまでもあった不正、今も続いている不正をよくぞ自ら認めて下さった、というニュアンスである。

 何のことはない。この種の違反をプロ、ノンプロ(アマチュア)関係者を問わず多くの人は知っていて、改めなかったのだ。

 ファンは「そんなコトだろう」と冷(さ)め、裏金がかさむのも球団経営圧迫の一因とされた1リーグ論の“現実”が、こうもはっきり白日の下にさらされては苦笑するばかりだ。

 プロ・ベースボールは日本的体質を刷新する以外に、新しい扉を開ける手があるまい。スポーツビジネスだの、エンタテイメント産業だのと語る以前の問題だ―。

“悪役”渡辺オーナーにはなむけの言葉
高田 実彦/スポーツジャーナリスト)

 プロ野球界の“ドン”といわれてきた巨人の渡辺恒雄オーナー(78)が辞任した。理由は「明大・一場投手に200万円の『栄養費』を渡した」という野球協約違反の責任を取ってであるという。しかし、球界や同氏をよく知る人の間では、これを額面通りに受取る空気がない。

 だいたい、「こんな(小さな)ことでオーナーが辞任なんて聞いたことがない」(中日西川球団社長)というのが一般的で、辞任発表の日にパ・リーグの小池会長が、「8月の6、7日に軽井沢で会ったとき、辞めたいといっていた。相当ストレスが溜まっているようだ」と語っているように、一場事件を辞める「いいきっかけ」にしたとみられている。

 なぜ辞めたくなったのかは、「強引に1リーグ制を推し進めていることで読売新聞の不買運動をされることを恐れた」というのが決定的な理由だが、今のところ目立った不買運動の動きはない。

 そんなところから、80歳近くなって、マスコミやファンの批判が老身に「応えた」のではないかという人がいる。「たかが選手が」「無礼な」などの発言に対するファンと選手会の猛反発、また、お膝元の巨人選手会が「1リーグ反対」の署名運動を行うなど、状況は最悪だった。

 渡辺氏をよく知る新聞人はこんな見方をしている。

 「ああみえてあの人は神経が細くてロマンチスト。大学を出たとき中央公論社にはいりたくて入社試験を受けたが、落ちた。その中央公論社が倒産しかけたのを買ったとき『若い日の実らぬ恋を成し遂げた感じだ』といっていた。けっして仇を討ったつもりではないんだ。根は純情。批判に耐えられなくなったのじゃないかな」

 「巨人の高橋由伸選手会長に『大衆迎合的なことはしない方がいい』といった言い方や、『オレも若いときは共産党だったんだ。高橋はまだ若いな』などのセリフもロマンチスト丸出しだね。あの人の本心は『若いときは多少無軌道でもいい』というところにある。しかし同時にグループのトップとして足元から反発されては穏やかでない。相当応えただろう。神経が細く体面を人一倍考える人だし」

 しかしこれと正反対に、「院政を引くために身を隠した」という見方も、当然のことながら根強い。

 政治記者時代から同氏を知っている人。

 「彼の名誉欲・支配欲・征服欲はもの凄く強い。今度オーナーに据えた滝鼻卓雄というのは社会部長経験者だけに、自分に降りかかってくる鉄砲の弾を受けさせる役に適任だ。しかもイエスマン中のイエスマン。だいたいあそこはイエスマンでなけりゃ偉くなれない会社だ。社長室長として野球の勉強もさせてきたが、滝鼻を通してプロ野球界を動かしていくつもりだろう」。
 
 院政を敷いて何をやろうとしているのかというと、「1リーグにして北海道から九州にまで、読売新聞の販売の先兵としての巨人軍を派遣して、巨人戦の切符を武器に部数拡大をすること。そうやって歴代の社長の中でも屈指の大社長になることが最後の夢なのだろう」こういう見方に同調する球界関係者はかなりいる。

 そんな夢の前に「読売新聞不買運動」などを起こされては大変だ。江川事件と長嶋解任で不買運動を起こされて、幹部から失脚した先輩を見てきている。少々のことでグループの会長から失脚することはなかろうが、人生の最後でミソをつけたくない。「ここは身を隠して汚点から逃げよう」というのが本当の心の中であるかもしれない。
 
 どうあれ、スター不足の球界からまた1人、スターが消えていく。たとえ、いや、舞台の真ん中にいた悪役スターだったからこそ存在価値があって、光っていた。裏に回って“院政悪役”をするのは極めつきの“悪玉”だ。

 身を隠したのならロマンチストとして静かに余生を送って欲しい。

北島の「ハンセン無視」に疑問を呈す
賀茂 美則/スポーツライター)

 アテネオリンピックで平泳ぎに出場する北島康介が、7月に100、200m
の世界記録を塗り替えたばかりのハンセンを無視する作戦に出た。これでは、北島がハンセンに勝っても負けても、後味の良いレースとはなるまい。

 これまで国際大会で何度も対決している両者は、控えめに見ても、「顔見知り」である。知り合いが世界記録を出したら、それを祝福するのが最低限の礼儀であり、この礼儀さえわきまえない北島陣営のやり方は「勝つためには何でもするというオリンピックの汚さを象徴しているかのようだ。極端な言い方をすれば、ドーピングとつながる発想でさえある。
 
 この作戦は北島本人の意向ではなく、上野ヘッドコーチが北島に、自分からハンセンに話しかけることを禁じたという。北島は自分からこのような作戦を取る性格ではないので余計に残念である。しかしながら、北島も子どもではないのだから、コーチの言うことを100%鵜呑みにする必要はないのだ。
 
 「オリンピックは参加することに意義がある」などと言うつもりはない。ただ、ライバルを含めた他国の参加者と交流を深めることは、オリンピックの大きな意義の一つである。そして、ひいてはスポーツを世界の平和に結び付ける筋道となるものだ。

 勝負はプールですれば良い。選手村でライバルを無視するのはオリンピックの精神に反している。
 
 ただ金メダルを取るだけではなく、「尊敬される金メダリストになる」ことが大切ではなかろうか。正々堂々と勝負した銀メダルの方が、「神経戦」なる姑息な手段を使って得た金メダルより価値があると思うのは、死ぬほどつらいと言われるトレーニングに関わっていない部外者のたわごとなのだろうか。
 
 オリンピックに参加するというのは国際社会で行動するということだ。世界記録を出したライバルに声をかけないというのは、国際社会、少なくとも欧米の社会では考えられないほど失礼なことである。
 
 北島ほどの選手であれば、日本国外でもその動向は報道されている。好むと好まざるとにかかわらず、その行動は、日本を代表するものとして受け取られるのだ。上野コーチは「犬のケンカと一緒」だと言うが、犬は「国家」と関係がないのだ。
 
 勝ち負けはともかく、礼儀を第一とした「武士道」を体現しろとまでは言うまい。ただ、「宣戦布告なしという卑怯な手段で戦争に勝とうとした国」のイメージを北島に被せる人たちが世界中には必ずいることを忘れないでおきたいものだ。
 
 個々の選手が国家の「代表」かどうかは議論の分かれるところだ。しかしながら、表彰式では国旗が掲揚されるし、金メダルを取れば、国家が演奏される。少なくともわたしは、最低限の礼儀と尊敬心を欠いた選手に日本を代表してほしくはない。

 


最新号
Back Number

2004年
vol.212(08/11)

vol.211(08/ 4)

vol.210(07/28)

vol.209(07/21)

vol.208(07/14)

vol.207(07/ 7)

vol.206(06/30)

vol.205(06/23)

vol.204(06/16)

vol.203(06/ 9)

vol.202(06/ 2)

vol.201(05/26)

vol.200(05/19)

vol.199(05/12)

vol.198(04/28)

vol.197(04/21)

vol.196(04/14)

vol.195(04/ 7)

vol.194(03/31)

vol.193(03/24)

vol.192(03/17)

vol.191(03/10)

vol.190(03/ 3)

vol.189(02/25)

vol.188(02/18)

vol.187(02/13)
vol.186(02/ 4)
vol.185(01/28)
vol.184(01/21)
vol.183(01/14)
vol.182(01/ 7)
2003年
vol.181(12/26)
vol.180(12/19)
vol.179(12/17)
vol.178(12/12)
vol.177(12/10)
vol.176(12/ 5)
vol.175(12/ 3)
vol.174(11/26)
vol.173(11/19)
vol.172(11/12)
vol.171(11/ 5)
Vol.170(10/29)
Vol.169(10/22)
Vol.168(10/15)
Vol.167(10/ 8)
Vol.166(10/ 1)
Vol.165( 9/24)
Vol.164( 9/17)
Vol.163( 9/10)
Vol.162( 9/ 3)
Vol.161( 8/27)
Vol.160( 8/20)
Vol.159( 8/13)
Vol.158( 8/ 6)
Vol.157( 7/30)
Vol.156( 7/23)
Vol.155( 7/16)
Vol.154( 7/ 9)
Vol.153( 7/ 2)
Vol.152( 6/25)
Vol.151( 6/18)
Vol.150( 6/11)
Vol.149( 6/ 4)
Vol.148( 5/28)
Vol.147( 5/21)
Vol.146( 5/14)
Vol.145( 5/ 7)
Vol.144( 4/30)
Vol.143( 4/23)
Vol.142( 4/16)
Vol.141( 4/ 9)
Vol.140( 4/ 2)
Vol.139( 3/26)
Vol.138( 3/19)
Vol.137( 3/12)
Vol.136( 3/ 5)
Vol.135( 2/26)
Vol.134( 2/19)
Vol.133( 2/12)
Vol.132( 2/ 5)
Vol.131( 1/29)
Vol.130( 1/22)
Vol.129( 1/15)
Vol.128( 1/ 8)
2002年
Vol.127(12/25)
Vol.126(12/18)
Vol.125(12/11)
Vol.124(12/ 4)
Vol.123(11/27)
Vol.122(11/20)
Vol.121(11/13)
Vol.120(11/ 6)
Vol.119(10/30)
Vol.118(10/23)
Vol.117(10/16)
Vol.116(10/ 9)
Vol.115(10/ 2)
Vol.114( 9/25)
Vol.113( 9/18)
Vol.112( 9/11)
Vol.111( 9/ 5)
Vol.110( 8/28)
Vol.109( 8/22)
Vol.108( 8/14)
Vol.107( 8/ 7)
Vol.106( 7/31)
Vol.105( 7/24)
Vol.104( 7/17)
Vol.103( 7/10)
Vol.102( 7/ 3)
Vol.101( 6/26)
Vol.100( 6/19)

100号記念メッセージ

150号記念メッセージ


Copyright (C) Sports Design Institute All Right Reserved
本サイトに掲載の記事・写真・イラストレーションの無断転載を禁じます。 →ご利用条件