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vol.215-1(2004年9月 1日発行)
「総括-アテネ・オリンピック」

【杉山 茂】国内パフォーマンスにアテネの勢いを
【佐藤次郎】アテネに感じた危機感

vol.215-2(2004年9月 2日)号はこちらから
vol.215-3(2004年9月 3日)号はこちらから

「総括-アテネ・オリンピック」と題しまして連続掲載(215-2、215-3)しました。 

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国内パフォーマンスにアテネの勢いを
杉山 茂/スポーツプロデューサー)

 夏休みと日本勢の活躍でアテネ・オリンピックのテレビ視聴率はなかなか好調だったようだ。

 このムードが、日ごろのスポーツ中継に引き継がれていくか、となると心細い。各局は「オリンピックだから」と、なじみのないスポーツにも時間を割いた。

 その面では、活字メディアによるリードが今大会も大きな力を示した。新種目・レスリング女子がその典型だろう。

 NHK・民放、それに地上波・空中波。チャンネルの選択肢は、これまでとは比べものにならないほど増え、総放送量(放送時間数)も一桁違ってきたが、「4年にいちどのお祭りだ」という割り切りがある。

 テレビ局のオリンピック至上主義、裏を返せば、4年ごとのお付き合い、巨額放送権料の“回収”と言える。

 ただ、これだけ茶の間にオリンピックがなだれ込めば、スポーツへの関心、チームや選手への興味は、いやでも沸いてこよう。

 スポーツ界が、それを「さすがオリンピック」「だからオリンピック」とはしゃいでいては、何もならない。今後にどう活かすかだ。

 国内での大会(国際試合を含めて)で、いかにオリンピックの熱気に近いパフォーマンスを展開できるか、スポーツ団体・組織が金メダル作戦と並んで、力を注がなければいけない課題である。

 「見るスポーツ」が盛んに言われながら「見せるスポーツ」の姿勢は極めて甘い。多くの大会は、一般観戦者へのサービスに欠け、関係者中心の身内のイベントでよし、とされる。

 アテネでの勢いを、あらゆる面で引き継ぎ、引き伸ばして欲しい。それが成らねば「4年にいちど」しか花は咲かないことになりスポーツ風土は浅薄なままで時を過ごすことになる。

 話は一変するが、オリンピック番組の活気に比べ、ベースボール(プロ)のテレビ中継は、低い数字(視聴率)からはい出せないままでいる。

 球界再編問題をめぐるさまざまな発言や不透明な流れが、不人気の色をいっそう濃くした。

 関係者は、心配するほど観客数は減っていない、アテネ・オリンピックの日本―オーストラリア戦の視聴率(関東地域19.3%=ビデオリサーチによる)は悪くない、など楽観的だが、これまた甘い。

 根強いパワーを誇るベースボール。アテネに対抗できる話題が、わずかに「駒大苫小牧の優勝」だけだという貧しさに、少しは“緊張”すべきではないか―。

アテネに感じた危機感
佐藤 次郎/スポーツライター)

 終わったばかりのアテネ大会は、オリンピックの危機を強く感じさせるものだった。ドーピング違反の続発。さらに競技上のトラブルの頻発。華やかな雰囲気や勝負の感動はいつもの通りだったが、一皮むけば、フェアで爽やかなはずのスポーツの場には似つかわしくない暗部ばかりが目立つのだ。
 
 世界アンチ・ドーピング機構(WADA)とIOCは、薬物使用へのこれまで以上の厳しい対応を打ち出して、不正の徹底摘発を宣言していた。

 しかし、それはとりあえずのところ、事前の抑止効果をあまり発揮できなかったようだ。もちろんIOCの言うように、厳しい検査−摘発が効果を発揮したからこその結果だが、現在の態勢で薬物使用を大きく減らしていけるのかという点には疑問が残らないでもない。
 
  一部の有力選手は、もはや薬物を自分の競技に深く組み込んでしまっているように思える。今回はスタノゾロールのような古いタイプの筋肉増強剤の使用が摘発されたが、テトラハイドロゲストリノン(THG)のように、検査逃れの合成が施されているような新種は出てこなかった。おそらく、さらに進化した検査すり抜け技術が開発されているのではないか。
 
 検査が厳しくなれば、使用をやめるのではなく、より巧妙に検査をすり抜ける方向へ進む。現代のドーピングはそれほど根深い。

 そうしたせめぎ合いがいつまでも続くのでは、さすがのオリンピックもその価値を大きく下げるだろう。たとえ正しい検査の成果とはいえ、違反者が続々と出てくる五輪など誰も見たくないのだ。これはもう危機というしかない。
 
 ここはぜひとも、はっきりと目に見える抑止効果が必要だ。そのためには、万難を排して薬物追放の厳しさの度合をさらに二段も三段も上げるしかない。
 
 一方、競技の判定や採点のトラブルの多発も、同じく危機を招き寄せる可能性がある。体操での重大な誤審や異例の採点変更。馬術では、スポーツ仲裁裁判所(CAS)の裁定による金メダル取り消し。そのCASには提訴が相次いでいるという。

 この傾向はさらに強まりそうだ。感動のフィナーレの後に提訴やクレームの第2ラウンドが待っているのでは、ファンも関係者も嫌気がさすに違いない。これもまたオリンピックの価値を下落させることになる。
 
 トラブル続発の原因は競技現場の審判やスタッフにある。それぞれが選ばれた専門家のはずなのだが、どうもすべてがそうではないようだ。おまけにタガが緩んでいる場合もあるのだろう。

 IOCや組織委員会は、スポーツ大会としてもっとも大事な土台をもっと固めるべきではないか。
 
 オリンピック大会は、他にない感動と、それがもたらす高い商品価値によって至高の存在となっている。不正の続発や提訴合戦ばかりが目立つようになれば、感動は薄れ、商品価値は大幅に下落せざるを得ない。課題はあまりに多いが、目をそむけているわけにはいかないのである。

 


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