16個目の金メダルはあまり気分のよいものではなかったが、1964年の東京オリンピックに並ぶ金メダル数、それに銀銅を会わせた総メダル数は我が国オリンピック史上の新記録とのことで、正に快挙であった。 しかし大きな期待を背負って、というよりは金メダルは確実のような意気込みで出陣した野球とソフトボールは、残念な結果に終わった。ソフトボールはさておき、野球に関して言えば、プロ野球チームからトップクラスの選手を2名づつ出して貰って臨めば優勝できるという考え方は、安易だったのではなかろうか。それに引き換え日本に2勝したオーストラリアは国内にプロ野球リーグも持たないのに日本を随分研究していたように見える。また日本のプロ野球を経験した、或いは現役のウィリアムス投手の存在は日本研究に大いに役に立ったことだろう。 日本は長嶋監督が不幸にもその任を継続出来なくなったが、後任監督も選ばず長嶋さんの神懸かりな部分にのみ頼ってしまった。中畑氏は良さそうな人だが、自分自身で思うように振る舞えなかったり、また彼には荷が重すぎたように思う。打球を腕に受けながらも続投した松坂投手しかり、皆選手は一生懸命プレイしたと思うが、何かスッキリしないものが残ったような気がする。 試合は勝つことが第一目的ではあろうが、プロ野球リーグのシーズン中に今回のようなメダル獲得のためのチーム作りには疑問を感じる。それで金も銀も逃したのなら、今回のチーム編成は何だったのだろうか。こんなことなら基本的なオリンピック精神にもどり、アマチュア選手で構成したチームで臨んでいたらよかったと思う。それでメダルが取れなくてもよいではないか、アマチュア選手に将来に向かったよい経験が出来たのなら。 もう一つ気になったことは報道も「長嶋ジャパン」などと冠をつけて騒いでいたが、金メダルの夢が消えた後に「長嶋監督ごめんなさい」などと大きな題字が一部スポーツ紙などで躍っていたことだ。負けたからとて謝る必要もないが、何だ国民の代表ではなくて長嶋さんのために戦っていたのかと。 それにしてもオーストラリアは野球もソフトボールも日本を金メダルから追い落とした。この教訓を生かしたチーム編成を次のオリンピックでは考えるべきだと思う。 |